釧路港の石炭荷役施設

今回は釧路港(西港区)の石炭荷役施設について。

 

なんとなく西港周辺をグルグルとドライブしていると大きな船と明かりが見えたので近づいてみました。

遠くから見える第4埠頭の明かり。手前には堀松建設の移動式浮きドックがある。

近くまでくると第1埠頭から第3埠頭までは車一ついなかったのですが、大型ダンプが第4埠頭から出たり入ったりしてます。

これは気になる。交差点を埠頭の方へ曲がる。

すると、眼の前に大きな船が煌々と照らされ、その下へとダンプは向かっています。

 

ダンプの通行を妨げない場所に車を停め、徒歩で近づいていみることにします。

恐らくダンプの運転手からは不思議というか怪しさマックスだったと思います。夜中に人が歩いているような場所ではないですので、、

アンローダ

赤い大きな機械が目に入ります。最初、船の一部だと思っていましたが港の荷役施設のようで、「チェーンバケットエレベータ式アンローダ」というらしい。

三ツ輪運輸㈱のHPによると1時間で1200tの石炭を荷揚げできるとのこと。港湾荷役|三ッ輪運輸株式会社 (mitsuwa-co.com)

アンローダと検索するとIHI運搬機械㈱の紹介ページを見つけました。 2003年6月27日の日本海事新聞にアンローダ受注との記事があります。

石播/石炭荷役用アンローダー受注。釧路港向け受注、20億円
 石川島播磨重工業は26日、釧路市から釧路港西港区第4埠頭向けに石炭荷役用の連続アンローダー1基(バケットエレベーター式、荷揚げ能力毎時1200トン)、石炭搬送用コンベヤーほか付帯設備一式をフルターンキーで受注したと発表した。受注金額は約20億円。2004年10月に稼働する予定。石播はこれまで、釧路港第4埠頭向けに連続アンローダー1基、穀物荷役用の連続アンローダー3基を納入した実績がある。石播/石炭荷役用アンローダー受注。釧路港向け受注、20億円|日本海事新聞 電子版 (jmd.co.jp)

また、IHIからも2004年9月30日付のプレスリリースで搭載完了とあります。

www.ihi.co.jp

HPには能力が2700tと書いてあるけどどちらが正しいのか…実際の運用が1200tということか

クチバシのようなバケットを輸送船に入れて石炭を荷揚げするのでしょう。

船からアンローダで荷揚げされた石炭はダンプへの積み込み施設にベルトコンベアで移動しているみたい。

荷役施設(ポケット)とアンローダ

石炭をダンプに積み込む様子を見学。これも怪しい人に見えたに違いない(入口の警備員さんが乗っていると思われる車が停まっていましたが、何も言われていないので問題はないでしょう)

この積み込み施設はGoogleマップには石炭荷役機械ポケットと書いてある。廃鉱のポケットは見たことありますが、現役のポケットは初めてかもしれない。

レーンは4つあるがこの日は2番のレーンのみ使用していた。

ダンプが一台ずつポケットに入ると、蓋が開き石炭が積み込まれる。積み込みが進むと、スキーリフトの音に似たチャイムが鳴り、ダンプは少し前進する。このチャイムが鳴る度に、ダンプトラックは前進を繰り返す。なるほど、排雪と同じ要領だ。ポケットの搬出口は動かないのでそのままだと偏って入ってしまうので、ダンプがいい感じに前進して、いい感じに積み込まれている。

ダンプの前進距離はどこかに示されているようには思えないけども、上記のとおりいい感じにやっているのだろうか。

よーく見るとチャイムだけではなく信号も青が点灯している。上から何かしらの方法で積載状況を把握して指示しているのかな。

満載になるとチャイムがプルル、プルルと2回鳴る。すると、ダンプはホッパーを出て貯炭場へ向かいました。

ホッパー下に待機するダンプ(後方より撮影)

ホッパーから積み込まれる石炭

ホッパーから積み込まれる石炭(前方より撮影)

満載になり閉じたホッパー

ホッパーを見ると炭鉱でよく見る漏斗の形をしていて、なんだか少し興奮した。眼の前でリアルタイムで積み込む姿を見られるのは嬉しい。

ホッパー

この日石炭を運んできた船は「YONG HONG ZHOU」という名前らしい。いかにも中国という名前である。船籍はパナマらしい。もっと調べてみるとロシアのナホトカから来たようです。ナホトカは小樽市姉妹都市になっていて極東最大の港とのこと。シベリアに抑留されたの多くはナホトカ港から帰国した。

船名

石炭を積んだダンプは、星が浦にある新太平洋商事の貯炭場に運んでいく。

石炭の運搬は三ツ輪運輸が行い、管理・販売は太平洋商事が行っているのか?そのあたりは分かりません。

※新太平洋商事㈱は2020年4月1日以前は太平洋石炭販売輸送株式会社という社名でした。社名変更は釧路臨港鉄道の廃止によって石炭輸送が無くなったことによります。

星が浦の貯炭場

 

北海道各地の港で石炭の輸入は行われていますが釧路のように大型の荷役設備がある港はないのでは。(他にもあったら教えてください)

釧路には日本唯一の坑内採炭を行っている釧路コールマインもあり、炭鉱に興味のある人には一度は訪れていほしい街ですね。

三笠などでは炭鉱遺産として廃鉱を活用していますが、現役の炭鉱や石炭に関わる仕事に目を向けてみることも大事だと思います。

 

※動画も撮影したので編集して投稿しようと思います。