北海道の戦前の橋「岡山橋」について

岩見沢市道にあるアーチ橋。国道12号から水色の橋をみたことがある人もいるかもしれません。橋の名前は「岡山橋」と言います。

この橋はとても歴史のある橋で、道内に現存する数少ない戦前に建設された橋として有名です。一番の特徴はソリッドリブ式タイドアーチ形式で初めて建設された橋梁であることです。(道内で)

まず、ソリッドリブというのはアーチ部材はI桁鋼材や箱型鋼材でできていることを指します。そして、タイドアーチというのは「タイ」という部材でアーチを結んでいる構造です。そもそもアーチ橋というのは水平反力が大きく、それに耐える基礎や地盤が必要です。イメージで言うと、柔らかい定規を親指と人差指でギュッと縮めると指に戻ろうとする力がそれです。

(出典:Wikipedia「アーチ橋」よりアーチ橋 - Wikipedia

岡山橋がある地域は泥炭地であり、地盤は良くありません。そこで、タイドアーチという形式が選ばれました。定規の例でいうと、定規の両端に輪ゴムをくくりつけると外に開こうとする力を輪ゴムが受け持ちます。この輪ゴムがタイ部材にあたります。

形式の解説はこのあたりにして、この橋の歴史を紹介しますと、建設時は国道12号の橋梁として利用され、その後1969年(昭和44年)に国道の切り替えにより旧国道(市道東岡山線)となりました。一時は老朽化で通行止めになった時期もあったようですが、補修され現在に至ります。2023年現在、87歳になります。

この橋の設計者も有名な方で、高橋敏五郎という方です。この橋の設計よりも国道36号線、通称”弾丸道路”建設を指揮したことで有名です。(当時札幌開発建設部部長)他にも”木コンクリート橋”にも関わりがあり、北海道の道路史と切っても切れません。

諸元等

橋梁名:岡山橋(おかやまはし)

竣工年度:1936年(昭和11年

形式:ソリッドリブ式タイドアーチ橋

橋長:55m

幅員:7.5m

交差物:幾春別川

 

地図

岡山橋は現国道12号の東側に位置しています。


右上の岡山神社から続く道が旧国道です。

goo.gl

 

参考に、1962年(昭和37年)の航空写真を記載します。


地図・空中写真閲覧サービスより「MHO622 1962/06/12(昭37)」を編集。

https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=378161

 

現地写真

①岡山橋を三笠市方より撮影

 

岩見沢市方より撮影

 

③遠景より。この角度から見るアーチ橋は美しいですね。

 

④銘板1「をかやまはし」

「お」ではなく「を」であること、右横読みが歴史を感じさせます。あと、この銘板は親柱についていたものを移設したのだろうか。親柱は補修の際に撤去されていますが・・・

 

⑤銘板2「昭和11年6月竣工」

 

⑥④の橋名板の横には選奨土木遺産のプレートが付いています。

後ろに見える緑の橋が現国道12号の岡山橋です。

 

通行止め時には解体の噂がありましたが、このように綺麗な状態で令和の現在に存在していることは嬉しいことです。

意識していないと通り過ぎてしまいますが、ちょっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。